5.liorabbit


















あるところに、とてもつよくて おおきいらいおんさんが いました。

らいおんさんは たくさんの どうぶつをたおして、いちばんの どうぶつとなりました。

もう らいおんに かてるどうぶつは いませんでした。

しかし、あるときらいおんはあしをすべらして がけのしたに おちてしまいました。

らいおんは あしをけがしてしまい、そのばをうごけなくなってしまいました。

らいおんは なにもたべることができず、そのばでよわって たおれてしまいました。

そらは くもひとつない せいてん、らいおんは からだが じわじわとよわっていくのを かんじていました。

らいおんは しぬのがこわくなって、めをとじました。

しかし、どこからか こえがきこえてきます。

「らいおんさん、らいおんさん」

らいおんは めをあけました。

そこにいたのは ちいさくて かわいいうさぎでした。

「なにをしにきた、このおれさまの さいごでもわらいにきたか」

らいおんはそういってわらいました。

「ふん、おれさまは いままで いばりつづけていた、これはてんばつだろう」

すると、うさぎはそのちいさいからだで らいおんのからだを ひっぱりはじめました。

「どういうつもりだ」

うさぎはこたえました。

「このまま らいおんさんがしぬのをみていられないよ」

「ばかな、オレさまはらいおんだぞ、なおったら おまえををたべるかもしれないんだぞ」

うさぎはだまって ひっぱりつづけました。


「わたしは らいおんさんに むかしたすけてもらいました」

らいおんは くびをひねりました。

「わたしは いじめられていました、でもらいおんさんはそんなわたしをみて さけんでくれました」


(はずかしくないのか!おどおどびくびくして!くやしかったらじぶんで あいつらをみかえしてみろ)


らいおんはおもいだしました、それはうさぎが むかしいじめられていたじぶんにみえたからです。




らいおんはいじめられたときから つよさをもとめてたたかってきました。

しかし、いつのまにからいおんは つよくなることしか かんがえてませんでした。

「おれさまは…」

らいおんは そのうさぎに てあてしてもらい、あしはすっかりなおりました。

しかし、らいおんのおなかは ぺこぺこでした。

そしてめのまえには ちいさなうさぎ。


らいおんはうさぎにじりじりとちかづきました。






「たべるなら、たべてください」





らいおんはびくっとした。


「わたし、らいおんさんに たべられるならいいです」

「…」

「らいおんさんは わたしにをゆうきをくれました、おんがえしをしなければなりません」

うさぎは うしろをむいたままうごきません。

らいおんは うさぎのかたをつかみました。



「いたいぞ」

「はい」

「くるしいぞ」

「はい」

「しぬんだぞ」

「はい」

「おまえはばかだ」



らいおんは うしろからうさぎのくびに そのするどいきばを つきたてようとしました。


にぶいおとがしました。















「どうして!」








うさぎのこえが、ひびきました。

らいおんのはは、おれていました。

じぶんで おったのです。


「これでもう おまえををたべることはできない」

「たべないとしんじゃうんだよ!」

「いのちのおんじんをころせるか」

「そんなのらいおんさんらしくない!」

「かもな」


らいおんはたおれてしまいました。


「らいおんさん!」

「はらへったぜ、さいごにえものをしとめそこねた」


らいおんは さいごのちからをふりしぼっていうと、もううごかなくなりました。


「らいおんさん!!」


らいおんはゆっくりと めをとじました。


「だめです、らいおんさん!」


らいおんは て にかんしょくをおぼえました。


みると、らいおんの つめ をじぶんでのどにさしたうさぎがそこに こときれていました。


「おまえ…!」


よびかけても、もう うさぎ が め を あけることはありませんでした。


「うさぎ!」


だらり、とさがった て がむなしくゆれるだけでした。



「うさぎ!!」

「うさぎ!!」







あるところにとてもつよくておおきいらいおんがいました。


らいおんはうさぎのためにうまれてはじめてなみだをながしました。


そのあと、らいおんが うさぎをたべていきのこったのかどうかはだれもしりません。









(おわり)







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