レイン「調べたところ、崩壊の規模の割には助かった人が非常に多かったそうだ。」

エルナ「へぇ。そうだったんですか。」

アルフィー「これも全てみんなが力を合わせた成果だ。」

アメリア「ものすごい団結でしたからね。」

エメルド「みんなこういう団結が必要とされる災害なんて二度と起きてほしくないという思いがあったからな。」







































水の世界



































第10話 真夜中の道







































――――――――――――――――――――。

夜、なぜだか外の景色を眺めたくなり窓を開けた。

町には前のようにが明かりが灯っている。

前よりは少しだけ少ないが。



見慣れた風景なのだがなんだか久々に見たような気がする。

半年程度ではなくもう数年ぶりくらいに。

向こうにいたときの不安が強くて時間を長く感じていたからだろうか。

それとも私が外の景色をあまり意識しなくなっていたのだろうか…………………………。





















グレイ「お〜い、何やってんだよ。」





















突然下からグレイが声をかけてきた。

エルナ「景色を眺めてただけ。そっちこそこんな時間に何やってるの?」

グレイ「夜の散歩だよ。」
























































私も夜の散歩に付き合ってみることにした。



エルナ「やっとこの町に戻ってこれた感じだよね。」

グレイ「そうだな。でも戻ってくるまでが長かったよな。」

エルナ「うん。でも戻ってみると向こうもよかったなって思えてこない?」

グレイ「機会があればまた行ってみたいよな。」

エルナ「夕実は元気にしてるのかな〜。」

グレイ「そういえばライドさんが向こうへ戻ったその日に夕実に会ったらしいぜ。」

エルナ「夕実はどんな感じだったって聞いた?」

グレイ「『一緒にすごせた時間が短かったからまた会いたい』って言ってたらしい。」

エルナ「そういうことと言ってもらえるとうれしいよね。」

グレイ「また会いに行かないと怒られるかもな。」































エルナ「――――――――――。」

戻って来た頃は暖かくなり始めていた季節も私の知らないうちに過ぎていき、

今は暖かい日もあるがだんだん寒くなってきている。

知らない間に時間が過ぎていったことを実感する。

エルナ「私が眠ってた間ってどうだったの?」

グレイ「あぁ、労働の日々のことか?

大変だったけどつらくはなかった。」

エルナ「楽しいことでもあったの?」

グレイ「いろんな人と一緒になるからそのうちみんな仲良くなる。

そしたらちょっと余裕があるときとかに話をしたりするんだよ。

それがひとつの安らぎみたいになるのさ。

つらい中にそういう楽しさがあったからがんばることができた。

次会ったとき互いが互いを忘れていたりするかもしれないけどな。」

エルナ「いいなぁ。いろんな人と出会えて。」

グレイ「お前はお前でがんばったんだから気にするな。」





















エルナ「……………あ、花だ。」

グレイ「ほんとだ。夜に咲く花、か。」



道端の一輪の白い花が月明かりに照らされていた。

周りに明かりがなかったため、一際目立って見えた。

そのときふと“彼”のことを思い出した。

向こうの世界でグレイの姿を借りていた精霊のことを。



エルナ「………グレイの姿を借りてた精霊がいたよね。」

グレイ「あ?俺を眠らせてた奴のことか?」

エルナ「うん。その精霊が消える前、ていうか私が消す前に言ってたの。

『自分のようにみんな普通に見ていても特別意識しない存在がいることを忘れるなよ』って。

今回の復興に携わった人はたくさんいるはずだからそれを忘れてはいけないんだなぁって気がする。」

グレイ「特別なものじゃないけど今回は大事な土産になったな。」

エルナ「そうだね。」





















再び歩きながらいろいろな話をした。

町は少し姿を変えたが前の形をちゃんととどめている。

やっと帰ってくることができたんだと強く感じた。







ここが、私の在るべき場所だ――――――――――。
















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