フクシアがいない。

どこにも――――――――――。









































水の世界



































第8話 元の場所







































グレイ「あいつがいないと何もできないじゃん!」

レイン「移動に関しては彼女にまかせきっていたからなぁ………………。」

ブレッド「俺たち研究所メンバーは何も用意していなかったな。」

アメリア「事件……………?」

エメルド「あぁ、100%事件だ!非常事態だ!!」

エルナ「騒ぎすぎてる感じがするんだけど……………。」
























































フクシア「迷惑かけてごめんなさい。」

さっき私たちが騒ぎ始めた直後にフクシアは戻ってきた。

グレイ「何があったんだ?」

フクシア「気が張り詰めてたから外へ行って気を紛らわしてきたの。

私こういうのにものすごく弱くて緊張するとものすごい失敗することがあるから……………。」

エルナ「それがフクシアのやり方なんだね。」

フクシア「自分勝手に外行っちゃってごめんなさい………。」

グレイ「緊張でお前が失敗したとき俺たちはもっと迷惑すると思うぜ?」

エルナ「こういう状況だから気にしなくていいよ。

今私たちがやろうとしてることはとても大事なことなんだから。」

アメリア「うまく行くようにがんばろうね。」

フクシア「ありがとう。」





















エメルド「で、全員同時に、しかも同じ場所へ移動できるのか?」

フクシア「それは心配しないでいいよ。」

ブレッド「俺たちは何もしなくていいんだな?」

レイン「ここで余計な心配は要らない。」

フクシア「置換・転流――――――――――!」

フクシアは首に下げていた“石”を手に持ってそう唱えた。
























































――――――――――!

ブレッド「……………ここなのか?」

フクシア「ここです。」

グレイ「酷いなこりゃ。何一つない焦土だよ……………。」

アメリア「何も残ってない……………。」

エルナ「ここが私たちの住んでたあの“水の世界”……………?」

見渡す限り何もなかった。

砕けた“結晶”と、場凌ぎで作られたような小屋1件以外は―――――。



















































アルフィー「みんな無事ついたか。」

小屋にはアルフィーさんと、依然見かけたことのある研究所メンバー数人がいた。

レイン「いまはどんな様子だ?」

アルフィー「見たと思うけど“結晶”が砕けた状態だからまだ町を復興させるのは難しい。

時々あの周辺で爆発……というか周りにあるものを全て消し去るような現象が起きている。

どうも“崩壊”はこの現象が引き起こしたものらしい。」

ブレッド「近づくのも難しいのか……?」

アルフィー「崩壊現象の規模も周期もまばらだ。

近づいたときにこれが発生すれば俺たちは跡形もなく消えてしまうだろう。」

フクシア「“緑の石”の力を使えばその現象を一時的にとめることはできます。」

エルナ「……………そこで私が“青い石”の力を使って“結晶”を修復するんでしょう?」

レイン「…………………………そうだ。2人ともよくわかっているじゃないか。」

エルナ「自分に何ができるのかはちゃんとわかっています。

なぜ私が逃げるのを優先されたかということも。」

レイン「……………そうか。」































フクシア「鎮流派―――――。」

“結晶”に近づいたところでフクシアは“緑の石”の力を発動させた。

グレイ「これで確実に何も起こらなくなるのか…?」

フクシア「しばらくの間は何も起こらないけど、これは私への反動が大きいから早くしてね。エルナさん。」











私たちは静かに“結晶”の前へと歩いた。











グレイ「やるか?」

エルナ「うん。」

エメルド「あわてるなよ。」

アメリア「……………。」









































エルナ「置換・還流――――――――――!」
















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