紫菜「もうすぐだね。」
















利亜「もうすぐかぁ……………。」
















亮輔「ここにいられる時間も短くなってきたな。」
















敏「短かったけど別につらい日々じゃなかったよな。」
















絵瑠「みんなとお別れだね……………。」









































水の世界



































第7話 流れ行く時と迫り来る別れ







































夕実「おはよ〜〜〜っ!」

絵瑠「…おはよう。」

夕実「元気ないね。また何か起こったの?」

亮輔「いや、こっちにもいろいろ事情があるんだ。

絵瑠だって深く突っ込まれると逆にもっとつらくなるだろうから、

詳しいことは聞かないでやってくれよ。」

絵瑠「心配してくれるのはうれしいし、話せる事情であれば話したいんだけどね。」

夕実「相変わらず取り込んでるんだね〜。」

亮輔「いろいろ状況が変わってきてるんだよ。悪く思わないでくれよな。」

夕実「別に悪く思ったりなんかしないよ。プライベートな事情なんだから。」

絵瑠「ありがとう。そういってくれるとうれしい。」











もうすぐ戻らなければいけない。

夕実たちと別れなければいけない。

そのことをどう伝えればいいのだろう。

いやな思いをさせたくはない。





















亮輔「どうするか?これから?」

学校が終わって帰りながら2人で改めて話した。

絵瑠「う〜ん、本当のことを言うわけにもいかないしね………。

ていうか言ったら逆に話がややこしくなるし………。」

利亜「まぁとりあえずこのことはみんなで話し合おうよ。」

亮輔「……………なんで突然お前が出て来るんだよ。」

敏「俺もいるぜ。」

絵瑠「2人ともどうしたの?」

利亜「私たちも同じ事情で困ってるからみんなで話し合おうと思って会いに来たの。」

絵瑠「紫菜はいないの?」

敏「誘ったけど来なかった。」

利亜「とりあえずどこかで落ち着いて話そうよ。」





















亮輔「で、お前たちにはいい考えとかあるのか?」

場所を人気のないところに移して話し合いを再開。

敏「とりあえず元のところへ戻ると言うのははっきりいってもいいと思う。

だけどそこから後が困るんだよな。」

利亜「私たちが特別であることは秘密にしないと大変。

だけど場所を告げないと納得してくれない人って多いよね……。」

敏「争わず、悲しませず、穏やかに……………。そういうふうにして解決させたいんだけどな。」

亮輔「今までは他の人を頼ることができたけど、これは俺たちだけでどうにかするべきだ。」

利亜「自分の思いを伝えるために他人を使ったらいけないね。」

敏「あ、そういえば紫菜が『考えるだけ無駄じゃないの?』って言ってた。」

亮輔「イヤミか?」

敏「いわれたときの雰囲気からして違うと思うんだけどなぁ……………。」

利亜「あまり深く考えずに思い切って話してみたほうがいいってことじゃない?」

亮輔「俺たちが特別な人間であることとかを?」



絵瑠「そこまで言うと逆に面倒になるよ。

紫菜が言いたかったのは思いを尽くすことじゃないかな。

私たちは別にここが嫌いだから他所へ行くわけじゃない。

本当はずっとここにいられるのがいいんだけど、どうしてもそれができない。

それがうまく伝わればいいよ。

言われた相手は悲しむかもしれないけど、どうしようもない。

でもできるだけいやな思いをさせないようにする。

私たちにできることはそれだけ……………。」



亮輔「よくあの一言でそこまで理解できたな。」

絵瑠「なんとなくそう思っただけ。

ひょっとしたらたまたま頭が冴えてたのかも。」



敏「よし、じゃぁそういうことでやってみよう!」

利亜「わかってもらえるようにがんばろうね。」

亮輔「おう!」

絵瑠「きっとうまく行くよ!」









































翌日――――――――――――――――――――。

夕実「おはよう!」

亮輔「おーっす!」

絵瑠「おはよう。」

亮輔「いきなりで悪いけどさ……………。」

絵瑠「私たちしばらくしたらいなくなる。」

夕実「え……………?どういうこと……………?」

絵瑠「私たちがここへ来る前いた場所にもう一度戻らないといけなくなったの。」

亮輔「せっかくここになじんできたなって思ったらいきなり戻って来いだと。

信じられねぇよ。ここでの出会いはいったいなんだった、ここに来た意味があったのか、

それぐらい迷惑な話だよ全く。しかも場所がどこと言うことを告げてはいけない、

手がかりになるような発言も一切ダメ、最低最悪だよ。」

夕実「いなくなるんだ……………。」

絵瑠「いなくなるけどさ別にここが嫌いなわけじゃないから、

折を見てまた会いに行きたいなって思ってる。だから悪く思ったりしないでね。」

夕実「………………………。」

亮輔「受け入れられないかもしれないけど、受け入れるしかない。

残された時間は少ない。それをどう過ごすかだ。

嫌な思いで終わるか、それとも有意義に過ごすか、夕実はどっちを選ぶ?」

夕実「……………いなくなるのは寂しいけど、

残された時間を嫌な気持ちで過ごすのはもっと嫌。」

絵瑠「ごめんね。仲良くなれたのにいなくなるって嫌だよね。」

夕実「気にしないで。」

絵瑠「すぐに戻ってこれないかもしれないけど、いつか必ず戻ってくる。

ひょっとしたら次に会ったときはお互い誰だかわからないくらい見た目とか変わってるかもね。」

夕実「そうだね。」

亮輔「てなわけで今日の放課後にみんなで――――――――――。」










































































































エルナ「……………いよいよだね。」

アメリア「そうだね。」

グレイ「俺たちの知らない間に下準備が整えられていたらしいな。」

エメルド「あとは俺たちが乗り込むだけか。」



レイン「エルナさんの力が必要とされるときだよ。」

ブレッド「こっち世界での後始末は児雷也がしてくれるそうだ。」

ライド「誰が児雷也だよ!?」

レイン「ここからが本番だ。みんながんばってくれ!」

ブレッド「一応簡単に説明しとこう。フクシアさんの力で全員一度に向こうへ移動する。

向こうにはアルフィーさんとかがいるからついたら彼らの指示で動いてくれ。」

ライド「まぁ、難しく考えないで気楽にやりなよ。

アルフィーさん達は頼りになるから何も心配しなくていい。」

エルナ「ねぇ。」

ブレッド「どうかしたのか?」

エルナ「フクシアがいないよ……………?」
















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