ルルルルルルルル……………。

頼也「あ〜っ、うっせ〜な。いちいち電話かけて来んなよ。昼寝したいのに。」

吾郎「それは電話かけてきた奴に失礼だぞ。相手に悪気があるわけじゃないんだ。」

亮輔「電話かけてくる人間のことを“奴”呼ばわり……………?」

絵瑠「五十歩百歩……………。」

頼也「はい、もしもし。」































頼也「あぁっ!?レイン博士!?生きてたんスか!?」

吾郎「生きてたのかよ…………。あの状況でよく逃げ延びたな。」

絵瑠「無事だったんだ……………。」

亮輔「親父が逃げ延びたってことはかなりの奴が無事なんじゃないのか?」

頼也「おい、誰か博士と話したい奴はいるか?」

少し話をしてから頼也さんがこちらに話しかけてきた。

絵瑠「あ、はい!」

私は電話を変わってもらった。

私はみんなより早く逃げてきたから、

みんなを見捨ててでも逃げなければいけない立場だったからみんながどうしているのかずっと気になっていた。

レイン「おぉ、エルナさん!」

絵瑠「こんにちは。御無事だったんですね。」

レイン「今はこうして無事でいるが脱出のときは大変だったよ。」

絵瑠「他には誰が無事だったんですか……………?」

レイン「君の友達も含め多くの人が無事だよ。」

絵瑠「よかった……………。」

私は今まで友人を見殺しにしてしまったのではないかという気がしていて、

それがこの前の夢にまで現れていた。

だから、みんなほとんど無事と聞いてうれしかった。


























水の世界



































第6話 再会と新しい仲間







































私は少しだけ話をしてから亮輔と代わった。

亮輔と博士の間でいろいろな情報が交換されている様子だった。

亮輔「よかったよな!みんな無事でさ!」

電話を切ってから亮輔が言った。

吾郎「あとはここから抜け出すための手続きを頼也に任せて

俺たちは水の世界の復興に着手するだけだな。」

頼也「何で厄介ごとはいつも俺に回ってくるんだよ!?」

亮輔「まぁまぁ。」

絵瑠「それで、博士は何て言ってたの?」

亮輔「今度1回会ってみんなで話をしようってさ。

それと、復興のために水の世界へ戻るのはもう少し先になるらしい。」

絵瑠「ふーん。」

亮輔「ま、詳しい話は今度会ってから直接聞こう。」































数日後――――――――――。

レイン「お〜っ!みんな来たか。」

亮輔「お〜っす!」

絵瑠「お久しぶりで〜す。」

私たちは待ち合わせをして博士と会った。

私たちが着いたときにはもう博士は到着していた。

頼也「さすが博士です。今こうして生きてるだなんて。」

吾郎「ご無事で何よりです。ほんと心配でしたよ。」

みんなほんとにうれしそうだ。

私みたいに感情を表に出さなくてもやっぱり不安だったんだろうなと思った。

亮輔「で、なんて呼べばいいんだ?名前。」

レイン「“黒田 礼”だ。一応名刺もあるから渡しておこう。」

博士はそういうと私たちに名刺をくれた。

亮輔「……………名前の字、ヘボいな。」

名刺を見てから亮輔が言った。

礼「何っ?人の名前をけなす気か!?」

絵瑠「喧嘩はやめてくださいよ。

それより他の人はどこにいるんですか?」

礼「あぁ、今から連れて行くところだよ。」





















博士に案内され、たどり着いたのは1件の家だった。

アメリア「あ〜っ!来た〜っ!」






ドタン!






アメリア「きゃぁっ!!」






窓から誰かが覗いていたらしく、私たちが玄関に着いたら上のほうから声がした。

でもその方向に私が目をやったときには声の主の姿はなく、

少ししてから誰かが床に転んだような音と叫び声がした。

礼「お〜い、利亜ちゃん大丈夫か〜?」

ドアを開けながら博士が中に向かって呼びかけた。

エメルド「多分大丈夫じゃね〜の?」

絵瑠「あ、エメルド!?」

エメルド「よう、エルナ!元気そうだな!!」

アメリア「ううう………痛〜っ!」

絵瑠「アメリア大丈夫?」

アルフィー「ころんで尻もちついただけだろ。」

アメリア「あ、うん。多分重症じゃないと思うよ?」

亮輔「大丈夫だろ。重症だったらそういうリアクションはできないからな。」

礼「まぁとりあえず中に入ってゆっくり話そう。」































礼「本当はあと何人か来る予定だったんだけど、

それぞれに事情があって私たち5人しか君たちと会うことができなかった。

みんないる場所がばらばらだし、ここの人たちと同調して生活をしているから、

みんな急には都合がつかないんだ。

すまないね。みんなとはしばらく会ってないから会いたかっただろう?」

絵瑠「……………?」

今博士は5人と言った。だけど私の前には4人しかいない。

5人目は誰だろう……………。

亮輔「それぞれに事情があるんだ。文句を言って何になる。

別に会うことを拒んでいるわけじゃないんだろ?」

絵瑠「亮輔の言うとおり。」

エメルド「一応俺がここでは三浦 敏(みうら とし)で、

アメリアのほうが山之内 利亜(やまのうち りあ)だ。

あとそれから……………。」

アルフィー「俺がここでは氷室 恭輔(ひむろ きょうすけ)だ。」











そのとき、私たちの背後からもう一人、私たちと年が同じくらいに見える女の子が出てきた。

5人目は彼女だったようだ。

フクシア「私は皆さんとは初対面ですね。フクシアといいます。はじめまして。

脱出のときこの方たちのお手伝いをさせていただきました。

ここでの名前は藍蕗 紫菜(あいぶき しな)です。よろしく。」

亮輔「こちらこそよろしくな。」

彼女は軽く会釈をした。そのとき私は彼女が首から何か下げているのに気づいた。

絵瑠「紫菜さんが首に下げてるそれは何?」

紫菜「……………博士から聞いたんだけど、絵瑠さんは石を持ってるんだよね?

それと同じものか似たようなものじゃないかな?」

絵瑠「じゃぁ青い石……………?」

紫菜「あ、違うね。私のは緑色。」

私が首から提げている石は、(なんという名称かは覚えてないが)水の力を拡大させて使うことができる。

ただし、もともと素質のある人間でないと扱うのは難しいらしい。

亮輔「じゃぁ紫菜も水の力をかなり使いこなせるのか?

石を持ってる奴って水の力を使いこなせる奴だろ?」

敏「紫菜は水の世界から地の世界へかなり多くの人間を一度に移動させてたぞ。」

紫菜「うん。」

利亜「紫菜のおかげで私たちはここに逃げてこられたんだよ。」

絵瑠「私とは違うタイプみたいだね……………。」

頼也「青石は水の力を利用して物に働きかける。

一方、緑石は水の力を利用して空間に働きかける。そんな感じだ。

でも緑は力を使うだけでも反動が大きいらしい。」

吾郎「青石・緑石ってお前、テキトーに名前つけるなよ。

確か何か名前があったはず。確か何とかストーンじゃなかったっけ……………?」

頼也「じゃぁブルーストーンとグリーンストーンかな?」

絵瑠「単純な発想…………。」

紫菜「名前なんてどうでもいいことですよ。大事なのは私が使える力です。

確かに大勢の人間を移動させたせいでかなり強い反動を受けました。

今はその反動のせいでしばらく力が使えない状態です。

でも回復したら今度は復興に携わる人だけを再び向こうに移動させたり、

他にもいろいろ復興のお手伝いをしようと思ってます。」

恭輔「多分復興のとき、絵瑠さんと紫菜さんのそれぞれの能力はかなり重要になってくる。

二人とも時期が来たらがんばってくれよな。」

紫菜「絵瑠さん、一緒にがんばろうね。」































絵瑠「……………今まで私は自分1人が復興のために生き延びなければならない、

自分が一番責任重大なんなだって思ってた。

でも紫菜も私と同じような立場って聞くとなんだか少し気が楽になるような感じがする。

こちらこそよろしく。一緒にがんばろうね。」

紫菜「うん。ありがとう。」






ひょっとしたら紫菜も私と同じような思いがあったのかもしれない。

そして、今ここで出会ったことで紫菜も私と同じように気が楽になったのではないだろうか。































亮輔「おいおい、なんか俺たちをのけ者にした考えとかしてない?

2人だけで全てのことをやるのは無理だろ?

俺たちだってある程度役に立つことはするつもりだぜ?」

恭輔「君たちは多くの仲間がいることを忘れてはいけないよ。」











吾郎「2人だけでは苦しいだろうが。俺達がいたほうが少しは楽になるぞ。

仲間は1人でも――――――――――ってな。」

敏「みんなの言うとおりだよ。自分達だけに責任があると考えるな。」

礼「まぁ、そういうことだな。これからが一番大事だ。

それぞれが持てる全てを尽くしがんばろう!」






さぁ、もうすぐ復興のスタートライン!
















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