エメルド「エルナ、俺たちを裏切ったな!?」

レメリア「自分が助かれば友達なんてどうでもいいんだ。

エルナがそんなに薄情者だったなんて信じられない。」

エルナ「違う!そんなわけじゃない!」

エメルド「うるさい!お前も道連れにしてやる!!」

エルナ「きゃぁぁぁぁぁっっっ!!」































――――――――――!

絵瑠「はぁっ……………ゆ…夢………?」

夢を見ていた。

とても怖い夢を。

こんなのいったい何年ぶりだろう……………。


























水の世界



































第5話 夢







































ガラッ。

亮輔「お〜い、起きてるか?朝だぞ〜?

……………ってどうしたんだ?気の抜けたような顔して?」

亮輔ことグレイが勝手に私の部屋の扉を開けてこちらを覗いてきた。

偽者が消えてから彼は私たちと一緒に生活するようになった。

偽者は精霊だから家なしで普通に生活をしていたらしい。

でも本物にはそんな自活能力はないし、

私たちがここにいる理由は水の世界の復興準備が整うまでの一時的な生活場所の確保だ。

だから頼也さんは快く亮輔を受け入れた。

絵瑠「夢……………。向こうの友達が……………。」

亮輔「う〜ん、とりあえず後でじっくり話そう。今、俺はお前を起こしに来ただけなんだからな。

部屋にずっといるのもヤバイだろ。それじゃ、またあとで。」































夕実「絵瑠、なんか今日は元気ないね。」

学校へ通っているときに、夕実が言った。

夕実「何かあったの?誰かと喧嘩でもしたの?」

亮輔「いや、前いたところの友達のこと思い出しちまったんだよ。」































さっき食事の後に私は自分が見た夢について話した。

亮輔「そうだったのか……………。」

絵瑠「こんなに怖かったの久々だよ。

やっぱりここに馴染んだつもりでも無意識のうちに向こうのこと考えてたんだなぁ…。」

亮輔「ところで向こうの人はどれぐらい逃げ延びたんだ、頼也さん。」

頼也「さぁなぁ……………。10人くらいは確認できてるけどあとはわからない。

その10人だけしか逃げ延びていないということはないだろうけど。」

吾郎「まぁまだ生存者はいるさ。」

絵瑠「そうですか……………。」


























亮輔「みんなどうしてるんだろな〜って絵瑠は気にしてるんだよ。」

夕実「あれ、亮輔なんで知ってるの?」

亮輔「え…?あ、あぁ、いや、最初いた下宿先があまりにも居心地悪かったもんだから、

絵瑠と同じところに住むことになったんだよ。

実はもともと俺たちは同じ場所から転校してきててさ、互いに当てにできるんだよ。

と言ってももちろん夕実を信用してないという意味じゃないからな。」

亮輔はとっさにうまく誤魔化した。

夕実「へぇ、そうだったの!それで、前の友達とは連絡とか取れないの?」

亮輔「それがちょっとわけありで今全然連絡つかねぇんだよ。手紙もだめでさ。

かといって自分の目で確かめようにも遠い場所だからいくこともできない。

だから絵瑠は友達のことが心配なのさ、あまり深く聞かないでくれよ。

俺も連絡とれねぇやつのことは心配だし。」

夕実「ごめん。なんか深く聞きすぎたね。」

絵瑠「そんなことないよ。心配してくれてありがとう。」

一応笑って気を遣わせないようにはしてみるものの、やっぱり不安だ。

本当にみんなはどうしているのだろう。

どれぐらいの人が生き延びているのだろう……………。





















亮輔「絵瑠、ちょっと後で話さないか?」

絵瑠「え…?…うん。わかった。」

亮輔には何かきっと考えがある。そう思って私は亮輔の話を聞くことにした。











放課後――――――――――。































絵瑠「朝、話とかいってたけど亮輔には何か考えとかがあるの?」

亮輔「お前さ、悲観的になってない?」

絵瑠「えっ?」

亮輔「みんな死んでるかもしれない、みたいな雰囲気だぞお前。」

絵瑠「……………だって崩壊したんだよ?」

亮輔「崩壊すればみんな死ぬのかよ?そんなわけないだろ!?

俺やお前が生きてるんだ。どう考えても必ず生きてるやつがいると思わないのか!?

たとえそれが全員ではないとしても。」

絵瑠「だって連絡が取れないんだよ!?」

亮輔「連絡が取れないから死んでるとでも言うのか?」

絵瑠「死んだら連絡取れないじゃない……………。」































亮輔「だからどうしてそうやって簡単にあきらめるんだよ。」

絵瑠「……………。」

亮輔「俺たちの目的が何かわかってるのか?

復興だぞ!?復興の前からそういうことで諦めていいのか?

それにもしみんなが死んでたとしても自分を恨んでるなんて思うな。

俺たちは望みを託されてここへ来たんだ。誰よりも優先されて。

それを忘れたらここにいる意味が……………。」

絵瑠「――――――――――わかった!

諦めたらいけないよね。ありがとう。」

亮輔「いや……………。とにかくがんばろうな。」

絵瑠「うん!」





















大事なことを忘れていた。

精霊の騒ぎが終わって落ちついたときに大事なことを忘れてしまっていた。

ここにいることを意識するようになって、水の世界のことを忘れていた。

あの夢は水の世界のことを私に思い出させてくれた。

そしてそれを後ろ向きに考えているべきではないといってくれた亮輔にも感謝だ。

私たちの目的は水の世界の人を1人でも多く見つけること、

そしてその集まった人たちで水の世界を復興すること。

そういえば精霊も思いを残すときにがんばれと言ってくれていた。

ここで諦めてはいけない。私はみんなとともにがんばらなくてはいけない。

私は改めてそれを強く意識した。
















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