私はこの前起こったことを明確に話した。

吾郎「やっぱどうにかして確かめるのが一番だろ。」

頼也「学校に行けばいいさ。誰か気の会う友達がいたほうがいいだろ?

それとも俺たちと毎日ここで朝から晩までのんびり過ごす?」

絵瑠「いつもここにいると何だか気が沈みそうだから行きますよっ!!学校にっ!!」


























正直、こんなうさんくさい人たちと四六時中生活するのはいやだ。


























水の世界



































第3話 不可解







































夕実「絵瑠、おはよ〜っ!!」

絵瑠「あ、おはよ〜。」

学校に通うようになったらすぐに友人ができた。

竹下夕実は私がひとりで沈んでたところに声をかけてくれた。

それがきっかけですぐに仲良くなれた。






でも、いつか水の世界に復興のときが来れば彼女とは別れることになる。

こういう関係も別れるとわかっていると複雑な気分になる……………。





















亮輔「おはよう。絵瑠。」





















“彼”が来た。

名前は緑川亮輔。

どこからどうみてもグレイなのだが、性格とかは全然グレイではない。

ただ、一つ気になることを聞いた。彼もまた数日前に転校してきたそうだ。

状況からすれば間違いなく彼はグレイなのに、

振る舞いなどはグレイと似ても似つかない。

矛盾した状況…。
















せっかく会えたと思ったのにグレイではないというのはなんだか寂しい気もする。

彼がグレイでないのなら、グレイは今どこにいるのだろう。

そして、彼がグレイだというのならこれは一体どういうことなのだろう。

仕方がないから普通に過ごしつつ、亮輔を観察することにした。
















夕実「ねぇ、絵瑠がいつも首につけてるそれはなに?何の石?」

絵瑠「あ、これ?知り合いからもらったの。何なのかは知らない。」

私はいつも首から青い石を提げている。

アクセサリーにしか見えないが実はこれは水の世界の道具。

上手に使えば水の力を倍以上に活用できるといわれる。

私はこれをうまく扱えるが、

水の世界の人でこれを扱えるのはごく小数なのだそうだ。

私が生き延びなければならなかった理由もここにある。
















夕実「ところで、宿題とかやった?」

絵瑠「え?普通やるでしょ?」

亮輔「俺もやった。」

夕実「うちのクラス、宿題の提出率が学年一悪いの。

だからみんなやったかなーって気になるわけ。」

絵瑠「じゃぁ夕実はやってこなかったとか?」

夕実「えっ!?私!?私はそれは…もちろんさぁちゃんとさぁ…やらないとさ…」

絵瑠「忘れたの!?」

夕実「……………うん。」

亮輔「諦めればいい。」

夕実「絵瑠見せて!!」

絵瑠「えぇっ!?」

ちょっといきなり言われてびっくり。

私は即興での反応は性格的に苦手。

夕実「お願い!!」

絵瑠「え〜っと………え〜………じゃぁ学校に急ごう。」

夕実「ありがとう!!」

亮輔「正直に忘れたって言っていいんじゃないのか。」

絵瑠「困っている友達は助けるものだよ。ね?」

夕実「早く学校行こう!」































亮輔はやっぱりグレイとは違うのかそうではないのか。

謎は深まるばかりだ。

だが観察を続けていると私はとんでもない光景を目にすることとなる。































それはある日の夕方だった…………。

男子生徒「痛てッ!!」

亮輔「あ痛ッ!!」

亮輔は曲がり角で出会いがしらに頭をぶつけた。

男子生徒「痛ぇじゃねぇか!?謝れ!!」

亮輔「全部俺のせいかよ!?」

男子生徒「他に誰がいるんだよ!?」

ぶつかった相手は確か私の記憶に寄れば松本 三郎。

謹慎を何度も受けているらしい。よく退学にならずに済むものだ。

ちなみになぜか“金剛”と裏で呼ばれている。

どうも喧嘩が強いとかいう理由らしい。

亮輔「何で俺だけ謝るんだ。お前も謝れ!!」

三郎「何だって!?俺に謝れだと!?誰に口聞いてるのかわかってんのか!?」
















少し離れて声の聞こえるところから様子を見ていたら、

亮輔の発言に三郎はキレて喧嘩になった。

だが金剛は喧嘩がとても強いため、亮輔では歯が立たない。

一方的にやられていた。

“水の力”で私が助けるという方法もあるが、2人に私の正体がばれると非常にまずい。

どうしようか私は悩んだ。

私は正体がばれてもいいから亮輔を助けるべきなのだろうか、

それとも波紋を起こさないよう黙って様子を見るべきだろうか…。
















亮輔「…………。」

そのとき突然亮輔は左手をまっすぐ前に伸ばした。

三郎「…………?」

一瞬金剛は様子を伺うために動きを止めた。

……と次の瞬間、































亮輔「散れ!!」































三郎「うわぁぁっっ!?」

亮輔の手先が花びらのように散って消え、

その花びらは集まるようにして金剛の背中に現れた。

そして金剛の頭を後ろにぐっとひきつけた。

これで金剛は無防備の状態。

だが金剛は必死にもがいて腕を振りほどいた。

するとすぐに亮輔の腕は体に戻った。

三郎「お前、何者だ!?」

亮輔「…………。」

三郎「うわっ!!」

今度は亮輔の体全体が花びらのように散り、花びらは金剛の体を覆いつくした。

数秒後花びらが取れたときには金剛はその場に倒れた。

亮輔「…………。」





















これで亮輔はグレイでない何者かである可能性が高くなった。

あのような能力を水の世界の人間は使えない。

あれは私の見たこともない力だ。

だとすると彼は何者なのだろうか?

なぜあのような能力が使えるのだろうか…………。











三郎「うわぁぁぁっっっ!!」

そのとき金剛がおぼつかない足取りで逃げていった。

そのとき亮輔はつぶやいた。































亮輔「ふぅ………。この姿にも大分慣れたな………。」































慣れた、と彼は言った。

どういうことだろうか。

亮輔はグレイの体に何かが取り付いた状態なのだろうか。

じゃぁ一体何が起こったのだろうか。

でもこの状況は間違いなく亮輔がグレイに関係していることを示す。

グレイは地の世界に到達したときに絶対、何かに巻き込まれている。































そのとき、亮輔の体は再び花びらのように散って消えた。

絵瑠「え…………?消えた…………?」

私は隠れていた場所から彼らのいた場所に進み出た。

周りを見ても後には何も残っていない。

なぜ亮輔は消えたのだろう…………………………。































亮輔「お前、見てたな!?」































突然亮輔が私の後ろに現れた。

罠にはめられた。































絵瑠「べっ……別に何も見てないよ!?」

亮輔「言い訳は聞かない。俺はお前をこのままでは返さない。覚悟しろ。」

亮輔が敵に回った。
















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