「ねえ、理香」
理香は、瑠香の声に振り返る。
自分と見まがうほどの彼女は、姉である。一卵性双生児である彼女らは、他人の目には判別がつかないほど瓜二つなのだ。
「なに? 瑠香」
「ううん、よんだだけ」
「なによ、それ」
理香はこのごろ思うのだった。――自分達はさほど似てない、と。
天然ボケの嫌いがある姉と、少しさめ気味の自分。髪型だって自分はショートだ。
なんで間違われるか、分かったもんじゃない。
そこに、瑠香はのんきな声で、
「理香ぁ〜」
「なによもう!」
振り向くと、瑠香が抱きついてきた。
「きゃっ!?」
「えへへ〜、大好きだよ〜」
無邪気な笑顔に、理香はため息をつく。
「本当に……似てないよなぁ……」