『この世には――白か黒かで決められないことなど無いのだ。そして、我々は白を白であると、黒き者に知らしめるためにある。我々の名は聖堂騎士―パラディン。最後にして、絶対の審判者なり―』
システィーナ聖堂協会、パラディンの誓い第四節より―
「今度の仕事は?」
黒いコートに身を包んだ男は、タバコをふかしながら、神父に問う。
神父は、眼鏡を直すと、男を見た。
「また、「黒き者(ダーク・ワン)」だ」
「……そうか」
「それも、われらが神の家に巣くうという」
「ふん……それで?」
「……目的は一つ。――OVERKILL(滅殺)」
「了解」
「システィーナ聖堂教会の御名の下、パラディン、ハリス・メイ、貴殿に命ずる」
「了解した。――祝福を」
「祝福を」
ハリスは、タバコを掌でもみ消すと、いすから立ち上がった。
―61―へ続く―