雪が心身と降り積もる中、私とお姉さまはバス停のベンチにいた。
コート着て、マフラーして、手袋もつけてるのに、まだ寒いなんて……変だよ、絶対。
息はふーって強く吹いても白くなるし、もーっ!
そうしてると、お姉さまは不意に私の手をつかんで、自分のコートのポケットに入れた。
「へっ? はっ? へっ?」
驚いて変な声出しちゃった私に、お姉さまは苦笑いして、
「どうしたの?」
「い、いや、あのっ、ポ、ポケッ、ポケットにっ」
「だめ?」
「だめじゃないです! 全然だめじゃないですっ!!」
「こうしたほうがあったかいでしょう?」
私はお姉さまの微笑みに、こくこくとうなずいた。
「バスが来るまでこうしてよう?」
「……たい」
「なに?」
「いや、なんでもないですっ」
慌てっぱなしの私に、お姉さまはやっぱり優しく微笑んだ。
「あ、バス来たみたい」
お姉さまの声に、私は手をポケットから出す。
バスの中はあったかかかった。私はお姉さまの横に座ると、流れていくベンチを見た。さっき言ったことがよみがえる。
――ずっと……こうしてたい――
ぜいたく、かな?