だめだ、力が、入らない――

 俺は、剣を持ったまま、地に倒れた。

 ―くそ、異国で死ぬのか……

 目をつぶると、ここにくる――出征する前の風景がよみがえる。

 息子は妻に抱きかかえられ、俺に手を振っている――

 もう一度、もう一度だけ……逢いたい……

 馬蹄の音が耳元を駆け抜ける。

 戦には勝つだろう。

 そうしたら……もう一度逢えるだろうか……

 意識が遠のく中、俺はただそのことだけを思っていた。

 風が……ひどく冷たかった……

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