「ふぁっ!?」
寝ちゃった。どうしよう、授業中なのに!
「……あれ?」
変だな、誰もいない……教室が空だ……
「どうしたのかな……」
外にもいないみたいだし……
「……誰?」
「ひゃっ!?」
いきなりうしろから声がして、振り返ったら、そこには女の子がいた。うちの制服着てるけど……見たことない子だった。
大きな目は、深い黒で、見てると吸い込まれそう。不思議な雰囲気が漂った子。私より背は低いけど、どこか私よりも……「長く生きてる」感じで。
女の子は、黒くてさらさらのツインテールを揺らして、近づいてきた。
「あなた……誰?」
私は、その場に釘付けになる。
動けない……まるで、そこに針で止められたように。
「どうして……ここにいるの?」
女の子は顔を近づけてくる……声が出ない。
「……戻って。まだ……来ちゃダメ」
そうささやくと、女の子の唇が重なった。
ふっ、と意識が飛び去る。
私は……
「ふぁっ!?」
起きたのは、休み時間の騒然とした教室だった。
見回すけど、どこにもあの子の姿は無い。
白昼夢。そうとしかいえない出来事だった――
「待ってるよ―いつか、あなたが来るべきときに来るのを」