「ね、彰一」
顔をうずめたまま、美月は甘えた声を出した。
「ん……?」
「今から彰一の家……いっていい?」
「ああ。……えっ? ええっ!?」
彰一は、目の玉が抜け落ちるほどに目をかっぴらいた。しかし、美月は続ける。
「だって、こんなにずぶぬれだし……風邪ひいちゃうから、温まりたいなーって」
「あたたまり……たい?」
おずおず聞くと、美月はやはり顔を胸に押し付けたままで、うなづいた。
「そ。彰一に……暖めて欲しいな」
「えええっ!?」
その言葉に、彰一は一瞬で沸騰し、頭からもうもうと煙を出してしまう。
「もう、彰一、どうしたの?」
動きが固まった彰一に、美月は不思議そうに聞くが、彰一はただ口を開閉するだけだった。